生米パンにハマっています!あーだ、こーだと楽しく研究中なんですよ。
生米パンを作ったけど、お餅みたい・・ふっくらしない・・・腰折れする・・・
そんなお悩みはありませんか?
わたしもだいぶ悩みましたが、裏技というか、秘訣といいますか、ひと手間かけるとふっくらすることがわかりました!
この記事では、そんな秘訣を公開します!
失敗しない生米パン!
ところで、生米パンはご存知ですか?え?米粉パンと違うの?
実は、嵐にしやがれで見ただけで生米パンもよくわからないんだよなぁ・・・
という方も大丈夫です!
こちらの記事で調理手順も含めて詳しく説明しているので、よろしければ、ご覧ください。
ミキサーで簡単!生米パンを作ってみる。米粉パンとは?生米パンとは?その違いに驚き!-monocotoyom
さて、今回は生米パンをふっくらさせる秘訣をまとめた記事です。
生米パンを作ってみるとなんとなくふっくらしないなぁという感じの方。
クイジナートじゃだめかな?普通のミキサーじゃ役不足?
やっぱり、高速、ハイパワーのミキサーに変えないと・・・って思ってる方。
わたしが研究してみて思った失敗しない生米パンの”ふっくら”ポイントをチェックしてみて!
生米パンをふっくらさせるには。
さて、みなさんは生米パンに挑戦してみましたか?
そしてやっぱり、うまく膨らまないというお悩みをお持ちですか?
これからやる方もこの記事を読んで是非チャレンジしてみてください!
生米パンをふっくらさせる一番のポイントは”製粉”なんです。
わかりやすく順番に説明しますね!
ミキサーで製粉する
え?ミキサーで全部の材料をいれて”ガー”ってやるだけじゃないの?やることはミキサで”ガー”で間違いないですよ。手も汚れませんし疲れません。
しかし、この”ガー”って作業で一緒に”製粉”も行っているんです。
このとききちんと製粉が行われないと、生米パンはうまく膨らみません。。。(
ノД`)シクシク…
生米パンは、なぜ膨らむか?
では、なぜ”きちんとした製粉”をする必要があるのでしょうか。
”きちんと製粉”された米粉の”パン比容積”は3~4倍以上を期待できます。
これは、普通のパンが3.8~4.0程度ですから、パンに比べてもそん色はありませんね。
ちなみに、”パン比容積”とは生地と焼き上がりのパンの容積比だと思って差し支えありません。
では、家庭できちんとした製粉を行うにはどうしたらいいでしょうか?
きちんとした製粉をするには”高速且つハイパワーのミキサー”が必要です。
それは、なぜでしょうか?
きちんとした製粉をするには
きちんとした製粉とは
- 米粉の粒子が小さいこと
- 澱粉損傷度が低いこと
になります。
米粉の粒子を小さくするには、高速且つハイパワーのミキサーが必要なのは直感的にわかりますよね。
しかし、もう一つ重要なのが製粉時間です。
製粉時間と澱粉損傷度の増加は正比例関係にあり、製粉時間が短い方が澱粉損傷度が低いんです。
つまり、短い時間で”ガー”ってやった方がいいんですね。
ということで、澱粉損傷度についても、高速且つハイパワーのミキサーが有利だという事がわかりました。
以上の事から、生米パン作りに高速且つハイパワーのミキサーが大切ということが理解できると思います。
きちんとした製粉だと、なぜ膨らむか
生米パンは、なぜ膨らむのかご存知ですか?
え?イースト菌のガスで膨らむんじゃないの?
パンと同じ理屈じゃないの?と思いますよね。
実は、パンはグルテンというたんぱく質が小さな網目状の繋がりを持ち、イースト菌が発生するガスを閉じ込めることができるために膨らむと言われています。
一方で、お米にはグルテンを作るたんぱく質は含まれてはいません。
このため、2001年頃までは米粉では、”増粘剤・グルテン添加なし”ではパンのようにふくらまないとされていました。
ご存知でしたか?
市販されている米粉パン・・実は小麦や小麦由来のグルテン、増粘剤を使用したものが多いんですよ。
この辺の詳しいところはこちらの記事をご覧ください。
ミキサーで簡単!生米パンを作ってみる。米粉パンとは?生米パンとは?その違いに驚き!-monocotoyom
では、なぜ生米パンが膨らむかというと、農研機構と広島大の共同研究結果によれば、
洗顔フォームなどで界面活性剤が空気と水の界面を安定化させるのと似た原理の”ピッカリングフォーム”と推定
されているそうです。
このピッカリングフォームを生かすには、きちんとした製粉が必要ということになります。
ミキサーを買い替える前に試したい秘訣のひと手間
さて、すこし長い説明になりましたが、”きちんとした製粉”でパンは膨らむこと、膨らむ理由は”ピッカリングフォーム”という事がわかりました。
小麦を使ったパンの手順とは”似て非なるもの”、真似る必要はなかったんですね。
また、以上の事から家庭でふっくら生米パンを作るには”高速且つハイパワーのミキサーが必要”なこともわかりましたね。
じゃ、膨らまなければミキサーを買い替えろっていう事!
残念ながらそうなんです。
でも、ちょっとまって!
その前に、この秘訣を実践してみてください。
うちのミキサーも高速、ハイパワーだけど膨らまないよ!
という方も、もしかするこの記事の秘訣でバイタミックス並みにふっくらするかも!
ミキサーを買い替える前にやっておきたいひと手間、それは!
”水”を加えるタイミングです。
やっと本題です。いってみましょう!
米は2時間から6時間程度を目途にたっぷりの水に浸す
米を水に浸すというのは、”きっちりした製粉”には欠かせません。
水に浸水させてから製粉すると、製粉の粒子径が小さくなることがわかっていて、さらに澱粉損傷度も低く抑えられることがわかっています。
その変化は浸水時間が2時間程度で安定します。
一方で、15時間以上になると膨らみがわるくなることがわかっています。
ですので、浸水時間を5時間程度を目途にしてください。
☆ーーーーこぼれ話ーーーー☆
浸水に使う水の分量って気になりますか?
実は、米がすっぽり水でおおわれるようにたっぷり入れもらえれば問題ないです。
この水は結局捨ててしまいますので。
また、この水をよく切って!という話がありますよね。
これは、浸水時間の過不足の目安に使います。
わたしの経験ですと、うるち米(家でつかう普通のお米ですね)であれば230gの米は水切り後に300g程度(お水をお米がすって重量が増える)になります。
ですから、浸水の目安として十分に水切ったあと300gより軽い場合は、もうすこし浸水時間を延ばすといった具合に使います。
とは言っても、この重量は、お米の品種や精米、保管状況が支配的です。
5時間以上たっても300gにならない場合は、このお米はこんな子なんだなぁって感じで見てあげましょう。
ちなみに、玄米は同じ浸水時間でも295g程度です。12時間以上かけると300gにはなりますがほとんど膨らみには影響しませんでした。
むしろ、説明通り、すこし膨らみが少ないかなという感じでしたよ。
一方で、ぬか臭さがやだなぁって方。
水切り必死にするよりは、浸水前の水洗い(いわゆるお米とぎ)と浸水後に軽く数回水洗いするほうが効果的です。
面倒だなって思う方はわたしも愛用している無洗米をお勧めします。
☆ーーーーーーーーーーーー☆
米と水だけでミキシングする
そして、特に重要なのが”米と水だけでミキシングする”です。
理由は、米と水の分量を明確にするためです。
”きっちりした製粉”に最低限のお水の分量は、
お米:水 = 1:0.8
です。
これ以上水の配分を少なくすると、製粉時に”きっちりした製粉”になりません。
例えば、浸水前のお米230gであれば、お水は184g入れることになります。
ここで注意点は、上記の分量であれば浸水後のお米の重さにかかわらず、
お米とお水の合計で、414g
になるようにお水を追加してください。
ちなみに、”きっちりした製粉”ということであれば水分量の割合は1.2まで問題は無いそうです。
では、なぜ水分量の割合を”きっちりした製粉”の最低限の0.8にするのでしょうか?
生地ペーストに水を入れすぎない
なぜ、最低限の水分量にするかといいますと、水分は後から抜くことが容易にできないからです。
しかし、適切な水分量はお米やミキサーによって異なります。
ですから水分量を調整したい場合は、0.8の水分量で一度焼いてみて、少しづつ水分を増やして様子をみましょう。
え!でも生地ペーストの粘度を水で調整するんじゃないの?
もしかしたら、
ネットやYouTubeでみる米粉のペーストの粘度にあわせるように水の分量を増やしたりしていませんか?
この情報を参考にしてると何度やっても生米パンがお餅みたいになってませんか?
☆ーーーーこぼれ話ーーーー☆
生地の粘度が高いのはなぜ?
粘度が高いのは製粉の吸水率が高いからです。
吸水率が高いのは澱粉損傷度が高いのも一因です。
そして、この澱粉損傷度を低く抑えるにはお伝えしたように高速且つハイパワーのミキサーが必要です。
もちろん粒度や澱粉損傷度はお米の状態も起因しますが、ミキサーの性能の影響が大きいと思います。
粘度をあげているのは”生米パンをふくらませる力ない粉”だと推測しています。
ですから、この粉の粘度を下げるために水を加えると当然、ふくらまず水っぽい生地になると考えています。
☆ーーーーーーーーーーーー☆
ということで、生地のペーストの粘度は、あまり気にしない方がいいです。
これは、”ピッカリングフォーム”の原理から言えば、水分があまり多いと、洗顔フォームの泡はうまくたたないのと合致するとおもいます。
ですから、生地ペーストの粘度を気にして、水を入れすぎないように注意しましょう。
水の加減はあくまで、焼成した生米パンの様子をみながら増やしてくださいね。
ミキシング時の注意!できるだけ滑らかに
水とお米だけのミキシングでできるだけ滑らかにしてください。
ざらざらしている場合はミキシングを続けてください。
ミキシングは、
1分程度回し、数分インターバルを取る。
これを繰り返す。
理由は製粉の飛び散り、ミキサーの性能由来、ミキサー自体の発熱由来です。
ミキサーの性能が支配的ですが、注意して作業をしてください。
製粉の飛び散り
これはミキシング時に飛び散る製粉がかなり粒度の高いものが含まれているので、きちんと押し戻してミキシングさせるためです。
意外かもしれませんが、製粉時の分量が少ないと飛び散りが多くなりざらざらが残ります。
製粉時にミキサーを高速・ハイパワーに設定し飛び散りが少ない分量で行うとよりきっちりした製粉になります。
※初めから高速・ハイパワーにすると飛び散ってもその後安定する量を見出してください。
ミキサーの性能由来
安価な製品はモーター自体がダレて長時間使用できないので休ませながら行うためです。
意外なことにミキサーの連続使用時間が2~3分程度と短い製品があります。
ミキサー自体の発熱由来
ミキサーを連続使用するとモータの熱がブレードを伝わり生地を温める場合があります。
製粉がいまいちだなぁと何度も繰り返していると生地が40℃を超える場合もありますので十分注意してください。
実は、イースト菌は40℃を超えると死滅する場合があります。まったく膨らまなかった経験がある方は、生地温度が高くなっていたことを疑ってみてください。
しかし、今回の記事の手順、秘訣を実践するとイースト菌はまだ未投入のはずです。
製粉後に生地温度が上がった場合は、生地が40℃まで下がるのをお待ちください。
バイタミックスをご使用の方へ
バイタミックスでは4回から5回で十分きっちりした製粉になると思います。
しかし、生地温度は40℃近くなっている場合があるのでチェックしてみてくださいね。
残りの材料を入れたらミキシングはほどほどに
以上の秘訣で、あなたの持つミキサーで粒度と澱粉損傷度を最高な状態にもってくることができました。
最後に残りの材料を入れるときの注意です。
- 生地は滑らかになっている
- 生地の温度は40℃以下になっている。
- ミキサーを回しすぎない
特に3項目は、試行錯誤中なのですが、あまり高速にせず材料が混ざればOK位でいいようです。
ミキサーを回していて生地の粘度が下がる(ゆるくなる)ような感覚を覚えた方はいませんか?
この状態でも膨らむのですが、焼成後に腰折れする可能性が高いようです。
腰折れで悩んでいた方で、改善された!などあれば是非コメント欄に情報をいただけると嬉しいです。
まとめ
ということで、ふっくらさせるチェックポイントはこちらになります。
- お米の浸水時間は2時間から6時間程度に(5時間を一つの目安に)。
- お米:水=1:0.8でミキシング。
- 生地ペーストの粘度を気にして水を入れすぎない。
ちなみに、生地の粘度は気にしなくてもいいですが、滑らかになるようにしてくださいね。
今回の手順で行うとパン容積比は3倍くらいが目標です。
お米230gで1斤型(蓋有)で焼成すると角食パンチックになる感じです。
1斤型(蓋有):cotta 食パン焼き型(1斤)フタ付 シルバー
ミキサーを買い替える前に一度お試しくださいね。
お願い
いかがだったでしょうか?
みなさんの生米パンがふっくらもちもちになった!という情報をいただけるとすごくうれしいです。
また、いやいや・・全然かわらないよ!という情報もすごくうれしいです。
いずれにしても、使用したミキサーのメーカー、型番や焼成温度なども添えてコメントいただけると嬉しいです。
みなさんの貴重な情報源にもなりますよね。
おまけ
まだ、研究中ですが発酵にも注意点があります。とはいえ、言われていることを守ればいいだけなのですが、やりがちな話を一つ。
発酵は2倍を超えないように
これは、自戒も含めてなのですが、どうしても発酵でふっくらさせたくなります。
えぇーでも発酵で大きくした方が焼き上がりが大きくなるんじゃ?
だいたい、焼き上がりも発酵させた高さになることが多いので、発酵時に高くしたくなりがちですよね。
しかし、2倍以上発酵させると、生地内の気泡が大きくなり生焼け気味になったり、焼き上がり後に縮むことが多くなります。
ここは我慢です・・・(; ・`д・´)
参考文献
日本食品科学工学会誌
本間 紀之, 高橋 誠, 吉井 洋一著
農研機構/広島大学
プレスリリース:グルテン不使用の 100%米粉パンの製造技術を開発しました
農研機構
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます。
引き続きブログをお楽しみください。